婚姻ということ

おおやにき「こらあかん」2008.05.21

もう戸籍なくしちゃえば?という気はしてくる。念のために言うと私自身はそれも一つの選択肢かなと思っており、住民登録以外に公的な身分記録が欲しいとしても個人単位戸籍でいいだろうし、婚姻制度も別に不要なのではないか(正確には、婚姻契約は不純なので共同体創設機能と嫡出推定機能に分離して適切な登録制度を設ければよい)と考えているから別に構わない。

http://www.axis-cafe.net/weblog/t-ohya/archives/000523.html

いや、戸籍はほんとなくてもかまわないよね、と戸籍謄本だの抄本だの取るたびに思います。家制度がもうないんだからなおさら。

私自身は婚姻の神聖ということを信じてはいますが、しかしそれは宗教婚の神聖でだけあっても究極にはかまわないとも思っています。一夫一妻制に基づく異性間の婚姻関係だけが正統だってのはたぶんに宗教的信念だろうし、そして特定の宗教的信念を保護することが国家にとって適切でないとすれば、法が一夫一妻制に基づく異性間の婚姻関係をとりわけ保護するというのは、世俗権力の機能として適切かどうか、というのは議論するに価するだろうと思っています。*1

ところで、伝統的なキリスト教じゃ婚姻は秘蹟なのですが(なのでカノン法にいろいろ細かいことが書いてある)、聖書の中に "mysterion"だと陽に書いてある唯一の秘蹟であるにもかかわらず*2、東西ともに秘蹟として確立したのはだいぶ後だった、という話を読んだことがあります。秘蹟が7つってのはだいぶ後の観念なので、具体的な中身が何かというのはいろいろな説があったとされている。そして私がおぼろげに覚えているその説によれば、西では早くから婚姻は秘蹟だというのは多数派意見だったのだけど、そして東にも一定数支持者がいたのだけど、東には同時に、民事上の契約でありかつ民事上の身分の移動*3に関わる婚姻は行政のなかで解決すべき問題だとする意見があったからそんで秘蹟として確立したのが遅かった、という*4。数年前に読んで、へーと思ったのだが、やんぬるかな、どこで読んだのか忘れています。メモも取っていない。誰か教えてくださると嬉しいです。

*1:個人的にはこのままでぜんぜんかまわないのですが、そして人間の対他関係ということにおいてもっとも基本的な関係のひとつだろうとも思うのですが、主題的に展開したことは実はなかったりするので、いまんとこエポケー。

*2:エフェソ書「これ(=婚姻)は偉大な神秘/機密です」。

*3:ローマ法では婚姻は父から夫へのある種の動産移動として扱われ、娘が父の父権から離れて夫の手権(manus)に入るとかなんとか。細かいこと忘れた。もちろんローマ人にとっても婚姻は神聖なものではあったが、法的な立場にだけ関していえば女性の権利というのは弱く――なにせ父権には生殺与奪 の権利まで入っているのである――ところがウェスタ神官とやもめは父/夫の支配から脱する。というわけでパウロがやもめに再婚するな、また再婚するなら信者とだけにしておけと勧めるには当時の社会制度上十分な理由があったと私は理解している。キリスト教徒が「人類の敵」(タキトゥス)といわれているところで、異教徒と再婚するというのはかなりにいろいろな面倒を惹起しかねない事態であっただろう。

*4:ただヤロスラフ・ペリカンは逆に婚姻の秘蹟についてむしろ「婚姻が秘蹟であることは比較的早く認められた」と書いていたような気もする……。まあ主張する人がいることと教会全体の教説になることとはまた別の問題なのだけど…………。

一日一チベットリンク

アジアの健康体操―チベット体操

みんながシャロン・ストーン失言で盛り上がっているところになんですが、いや実は mixi の「【Free Tibet】チベット」関連コミュにずっと出ている「チベット体操」てのが何なのか、この一月ずっと気になっていたのです。そうか、こういうものだったのか。ちょとヨガに似てますが、あまり人間を超えた動きにみえないところにちょとほっとしている。。*1

個人的には、夫がいつもやっていて、それで我が家の朝の定番だった「犬伸び」が入っているのに、なんか感動しました。朝起きたとき犬伸びすると気持ちいいですよ! ぜひ一度お試しを。

ところで、この体操、ほんとにチベットと関係あるのかしら。「インド駐在の軍人がラマ僧に教えられた」ってなんかむしろファンタジーに聞こえるんだけど?

*1:いや、私は身体がとても硬いんです。ヨガはもうなので見ているだけでなんか痛いよう怖いようという気がしてきてしまうのです。