長いお別れ

ちょうど1週間前には、まだ気丈なことをいって、しゃべったりなんだりしていた人が、屍になっている、というのは、なにやら現実感のないことで、そしてそれは私だけではなかったようである。久々に話をした従姉妹も「実感がない」「祖母の家にいったら、まだいつものように出てきて、いつものようにしゃべるんじゃないかという気がしている」といっていた。

昨日が通夜で、今日が葬儀で、宿は長兄である伯父が手配してくれた。箱根湯本。そうです温泉です。超うれしい。親族みなで温泉三昧っすよ。20人超えてたかな。それが夜遅く朝早く部屋と大風呂をいったりきたりしてみな顔が風呂あがりで上気しているのがおもしろい。

チェックインのとき複数人が「おばあちゃんのおかげで、のんびりできて、嬉しいねえ」といっていた。祖母がもういないということがまだなにか実感できないせいもあるのか、我々の短い温泉旅行はなにかひたすらに楽しく晴れやかなものに満ちていて、みな一様にすがすがしい顔で山深い宿からふもとの葬儀場へ向かったのでした。