一九九九年三月。ウィーンからの夜行列車、心地よい揺れに目が覚めると車窓からの景色はどこか潤んで緑の色も優しく、昨日までいた北の国とは違って、イタリアに入ったのだなと分かった。紅茶とパンにオレンジジュースのパックが付いた簡単な食事を車掌が運…
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