無残な聖火リレーが中国に投げかけたもの――フィナンシャル・タイムズ - goo ニュース

5月8日付。FT5月1日の記事の翻訳。

http://news.goo.ne.jp/article/ft/world/ft-20080508-01.html
http://news.goo.ne.jp/article/ft/world/ft-20080508-02.html

チベットでの抗議活動と聖火リレーは、欧米の対中観を一部変えてしまった。と同様にチベット暴動と聖火リレーは、一部の中国人の対欧米観をも変えた。西側での聖火リレー報道の大半が、中国の軍警察に集中していたとするなら、中国の聖火リレー報道は、車椅子の聖火走者、金晶(ジン・ジン)さんに集中していた。パリの聖火リレーで、チベット旗色の帽子をかぶった男性が、車椅子の金さんに襲い掛かった。国営メディアはこの映像を、繰り返し繰り返し際限なく伝えた。このおかげで多くの中国人は、聖火リレーについてまわる反中デモはどれも、理不尽で不合理なものだと感じるようになった。

一般中国人のオリンピック人気はとても高い。一般中国人にとってオリンピックとは、世界人口の5分の1を抱える自分たちの国が、国家としての誇りを高揚させ、これまでの実績を世界に披露する、絶好の機会なのだ。そのため、聖火リレーを妨害しようとする諸々の動きは、多くの中国人が抱いている感情を改めて裏打ちしてしまった。というのも多くの中国人は、中国の近年の成功に西側は嫉妬していると思っているからだ。

多くの中国人は、なぜこれほど多くの欧米人がチベットのことをこれほど気にかけるのか分からず、当惑している。中国人にしてみるとチベットは、発展が遅れた貧しい地域で、中国からの近年の投資で大いに恩恵を受けたはずではないか、ということになる。

無残な聖火リレーが中国に投げかけたもの――フィナンシャル・タイムズ(2)

その一面で、オリンピックは Great Fire Wall を短期間だけではあろうけど緩めさせることにもなった。いままでアクセス制限がかかり見えなかった BBC中文版やウィキペディア(英語版、中国語版)など、いまは誰でもみることができる(なお中国政府は公式にはこれらのサイトへのアクセス遮断を認めていない、だから解除についての公式なコメントも、ない)。Twitterや中国の blogosphere をみていれば、中国人ブロガーは、きちんと情報のある事象についてはそれなりに冷静な分析と反応を返しているようにみえる。またその感覚も、そう私達と遠いところにあるようにはみえない。ブロガーの不当逮捕には憤って反対運動をするし、Great Fire Wall の解禁にオリンピックまでだろうと醒めつつも情報の増加を素直に喜んでいる。Great Fire Wall が機能停止しているこの時期だからこそ、個々人がネットで中国政府の姿勢について態度表明することには、その多寡に関わらず、意義があるだろうと思っている。

ところで、エントリ冒頭に「一日一チベットリンク」と書き(つまりこのキーワードより前にキーワード「チベット」が出現しない状態で)、かつキーワードカテゴリーで地理も選択していると

    • チベット」が優先され
    • 一日一チベットリンク」がキーワードとして認識されず
    • ソースでキーワード指定しても、後者のキーワードページからは認識されない

ようなのだが、これ(本文の構成に影響を与えずに)なにか回避する方法があるのだろうか*1教えてはてなダイアリー

*1:不都合なのでこのテキストは本文ごと修正してある。まさにレッシグいうところの CODE によるアーキテクチュアルな支配といえよう。アーキテクチャが一定の表現をとらせない/別の表現を誘導するのである。