ニュース三題。

僧侶140人を一時拘束 中国甘粛省の仏教寺院―産経ニュース

 インドに拠点を置く非政府組織(NGO)チベット人権民主化センターは10日までに、中国甘粛省甘南チベット族自治州夏河のチベット仏教寺院、ラプラン寺で7日、約5000人の治安部隊が寺を取り囲み、約140人の僧侶を拘束したと発表した。

 拘束を免れた同寺院の多数の僧侶が抗議、釈放を求めた結果、当局側は9日午前までに7人を残して釈放。しかし、抗議を続ける僧侶側と治安部隊との緊張状態が続き、センターは対立激化に懸念を示している。

 僧侶が拘束された理由は不明だが、ラプラン寺は3月以降、僧侶の抗議デモが伝えられ、4月上旬には取材に訪れた外国人記者に僧侶が「われわれには人権がない」などと訴え、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世のチベット帰還を求めた。(共同)

産経ニュース 僧侶140人を一時拘束 中国甘粛省の仏教寺院

甘粛省というと一見チベットと関係ないようだが、「甘南チベット族自治州」という行政名称が示すように、本来のチベット文化圏の一部である。なお、日本ではパンダも中国は四川省の動物ということになっていて、それは行政上は正しいのだが、あれも正確にはガパ・チベット族羌族自治州などを中心とする四川省南部が主な生息域で、本来はチベット文化圏の一部である。チベット民族の活動域と中国の行政区としてのチベット自治区は同一ではない。他に青海省なんてのは、まるごと本来のチベットの一部である。それを考えると、チベット自治区における自治、というのは非常に慎ましやかな要求であるともいえる。

次は毎日のカルマパ17世インタビュー。これは見つけたのが遅いのでクリップ代わり。あとでよむ。

ダラムサラ(インド北部)栗田慎一】チベット仏教ナンバー3で、次世代の実質的リーダーとして若い世代を中心に求心力を高めるカギュ派最高位の活仏カルマパ17世(22)が9日、亡命先のインド北部ダラムサラ近郊で毎日新聞と単独会見した。カルマパはチベット自治区での暴動・鎮圧について個人的な意見と断った上で「チベット人が暴力を拡大したという中国の言い分は誤りだ」と語り、中国側の主張を真っ向から否定。日本など国際社会に対し、「チベットの遺産と文化の保護に協力してほしい」と訴えた。

(後略)


毎日新聞 チベット:仏教ナンバー3「中国の言い分は誤り」

なお、チベット仏教のナンバー2はパンチェンラマであるが、これは1995年に指名されたあと、行方不明になった。中国政府は長らく関与を否定していたが、後に「保護している」と関与を認めた。ただしどこでどのように保護しているのかについては情報を公開していない。またこの「保護」されたのと別の人物を中国政府はパンチェンラマに指定している。こうした中国の態度が、当代のダライラマ亡き後が憂慮される一因でもある。

最後に。これは英文。直接にはチベットと関係ないが
BBC China and Japan seek 'warm spring'

Oil and dumplings. Pandas and ping-pong. The first two are reasons why Japan and China's relationship is not as good as both countries would like it to be. The second two are ways they hope to improve matters.

わはは。こう並べてみると中国の懐柔策がいかに実質に乏しいものか改めて認識させられる。dumplings ってのはここでは餃子のこと。なおこのあと日本国内でのチベット支援デモについても少し言及がある。

一日一チベットリンクでした。