休まない、休ませない

ああ、嫌なものを読んだ。

クラス全員、欠席させない――。千葉県立一宮商業高(一宮町)から県立勝浦若潮高(勝浦市新官)に1日付で赴任した鈴木幹男教諭(36)のモットーだ。一宮商で一昨年度担任した3年生、昨年度の1年生と2年続けてクラス全員1年間欠席ゼロを達成。勝浦若潮高でも「学校を休むな」と指導するという。  「社会に出ると、少しぐらい体調が悪くても仕事を休めない。学校で休まないことを身につけさせたい」

http://www.asahi.com/edu/news/TKY200904200295.html

まず思い出したのは夫のことだ。うつ病をやみ、数ヶ月の通院加療の後、どうしても耐えがたくなった夫はある日意を決して上司に相談した。うつ病のことを打ち明け、病気休暇を取り、自宅で療養したいといった。少なくともわたしは彼からそう聞いている。上司はいった「なあ、もうちょっと頑張れんか」。

一週間後に、彼がしなくてはいけないプレゼンがあった。彼の直接の業績になる、大きな機会だった。それまで、あともうちょっと、その気持ちはわからないではない。だけどその日の晩、そのことを打ち明けてくれた彼はそれでとてもしょんぼりしていたし、わたしも彼がますます元気をなくしているのをみていいようなく悲しかった。

その二日後、彼は職場のある建物の7階から自ら墜ちて逝った。きょうはちょうど彼の月命日だ。

「社会に出ると、少しぐらい体調が悪くても仕事を休めない。学校で休まないことを身につけさせたい」 なんという無神経で、空疎で、暴力的なことばだろう。わたしは思う。このひとたちが、休むことを罪悪視するこの人たちが、わたしの最愛の人を、そして多くの他の人を殺したのだと。

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