OSB

  • アウグスティヌス使っている。まあ、聖人だものな。「寓意的な層」をきっぱり否定しているのには驚いた。署名論文だが書物の性格から考えて、限りなく公式見解に近いと見るべきだろう*1
  • アレクサンドリア型」=「テクスト・レセプトゥス型」のほうが信頼性が高い、と表立っては書いていませんが、安定したテクストであるので底本にする、と宣言して本文は NKJV*2。まあ典礼で使用する聖書なので、そしてめったなことでは変化しないのが正教会典礼なので当然か。とはいえ欄外注釈でネストレ26版*3との主要な異同は書いてある模様。TS底本なのでコンマ・ヨハンネスもしっかり本文にあるが、写本的裏付けが弱いことも欄外に記載。著者問題はかなり保守的で、書簡の著者問題がほとんど言及されていないのだが、断定の仕方に微妙な幅があるので気をつけて読めばそれとわかる*4。でも「ヘブル人」については、はっきりと「著者不明、慣習でパウロ書簡扱い」と書いている。
  • ロマ書のドクソロジーは、キリストと神を同格に取っていました。
  • 原理主義カトリックでもプロテスタントでもないそうだが、「と主張している」そうだから、そう紹介すべきなんだろうな。もちろん西方教会は全部まとめて「だめぽ」認定。

*1:個別箇所の寓意的な読みの可能性まで排除しているわけではない。

*2:thou が恋しい。

*3:OSB新約の初版は1993年。

*4:パウロ真正書簡には「議論があるものの、一致している」。逆に偽作・擬作には「本文にそうあるから」。教会的にはまだ微妙な問題なのだろうか。ロシア正教会系は超保守派だからな。