ラノベ備忘録・2008年総集編
前回(8月購入分)のまとめ:ラノベ備忘録・2008年8月編。 - 鰤端末鉄野菜 Brittys Wake
第4四半期のまとめを兼ねる。読書メモなので2008年のラノベを総括するというような大それたものではありません。
- 『このライトノベルがすごい』のくまざわ書店ランキングによると栗本薫はいまだに出せば売れる作家のようだ。さてこそと思わなくもなく。出さないほうが文筆家としてのご本人のためにはよいような気もするのだが。
- フルメタの新刊。亡夫はフルメタの短編は大好きで長編はあまり好きではなかった。わたしはラノベが10代後半から20代前半の読者にもつ教養小説的役割を評価してはいるのだが、彼は「ラノベでまで人生語ってもらわんでもいい」とにべもなかった。もっとも『戦争と平和』を「ボロジノ会戦がメインで前はおまけ」、『レ・ミゼラブル』を「ワーテルロー会戦の小説で後はおまけ」と評する人にそこまでいわれる義理はラノベの中の人にはないとも思う。フルメタはことし出た巻で大きなどんでん返しがあったのだが、あれを巻き戻すにはあと数巻は必要だろう。シリーズ全体だと何巻になるんだろうか。
- 『マリア様がみてる』が完結。あの世界そのものは使うつもりのようだけど、祐美の薔薇さま生活を書くつもりはないんだろうな。解消されていない伏線?が幾つかあるので、あの登場人物たちを直接使って短編はいくつか書かれるのかもしれない。
- 『ポリ黒』を気がついたら買うようになってました。ファンタジーで推理小説というのは本格が好きな人は許せないのかもしれないけど、TRPGer であるせいか私はそれほど気にならない。一エピソード一巻でおさまるのもいい。榊一郎は嫌いな作家ではなかったのだけど(棄てプリは読んでました)、最近の作品はテンポが合わないので、まともには読んでいない。手元にたまたまあれば眼を通すという感じ。
- レンタルマギカを買うようになりました。SNEの人だけあってガープス・マジックで魔法使いだけのパーティを組んだらこんな感じになるかなというテイスト。外国語の使い方がむちゃくちゃですが史実は勉強し理解した上でアレンジしているようなので安心して読める。逆に『禁書目録』はわたしのテイストには合わなかった。キリスト教をネタにするならネタにするでしっかり消化しきってほしいんだよね。レンタルマギカは教会本体という地雷は踏みにいってないからいいのか。ラノベじゃないですけどヘルシングは好きです。がんばって勉強してしかし壮絶に外しているというのはそれはそれでナチュラルに笑いのツボに入りますよね*1。聖公会には知り合いがいないのだけど、たぶん連中もヘルシングは楽しめてるだろうな。
- マエタマこと前田珠子。いまの若い人読んでるのかなと思うんだけど、新刊が出てるのは立派、といいたいところですが、全4巻の予定のはずのシリーズ(「天を支える者」の第二シリーズ)が、ううんこれって4巻目だけど終わってないよね? 編集がちゃんと締めるべきじゃないのでしょうか。
- 15年前に人気作家だった人でずっとラノベ書いてる人って、そうたくさんいるわけではなく、やはり若い人相手にものを書くのはたいへんなのかなあと思っていたら、スレイヤーズの再版が出て――絶版になっていたということをそのときはじめて知ったのですが――読まれるものは読まれるんだなとこれは少し驚かされました。会社違うけど、ハヤカワでもFTの古いものがいくつか再版が掛かり、ベルガリアードなどなつかしく読みました(ってそれは去年?)。FTには肩の凝らないファンタジーがいろいろとあるのでまた手に入るようになってほしいものです。
- 星界はことしも出ていないようだ。だよね?
9月から12月にかけて買ったラノベは『マリア様がみてる』の新刊2巻でした。全体に頭が油で揚げたように疲れているときに、それを適度に動かしてほぐして洗ってくれる刺激としてラノベがほしくなるので、来年は購買量が減るといいなあと個人的には希望しています。
*1:やや物悲しいものは残るけれど。おもしろうてやがてかなしき。