いつまでもいっしょ

七月七日。七夕の笹を飾る。色画用紙を買ってきて一部で飾りを造り、一部を短冊にする。せっかくなので近所にいた友人を呼んで、まだ健在だった夫も一緒に三人で短冊を書いた。お願いごとを書くとき、ひとはなぜだか無口になる。

とつぜん「いやん、かわいい」と友人がいう。夫が書いたばかりの短冊を彼女は手に取り上げていた。いつもの彼のちょっと稚拙な字で「…ちゃんといつまでも/いっしょに暮らせますように」と書いてあった。夫はなんだか照れて小さくなって下を向いてしまった。そうして小さい声で「変だったでしょうか」といった(私の友人が一緒だと彼はいつもなんだかとても丁寧になった)。友人は「そんなことないですよ、素敵ですよ」といったが、彼はますます真っ赤になって下を向いてしまった。

私もなんだか何もいえなくなって顔が真っ赤になるのがわかったが、なんとか「せっかく書いたんだし、みんな笹につけましょうね」といって、針でつついて糸を通し、三人がいま書いたばかりの短冊を笹に飾った。

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