ネットで友達は出来るか・本編(追記アリ

id:fuldagap さんにはこの前某エントリブックマークコメントで見事に私の心境を代弁していただき、おおと思っていたところにわたくしの恩師の愛読者でもあり、というよりは共通の趣味があることを知り*1、それはいいですね、機会があればこんどオフしましょうと書きかけたところ

fuldagap ネット, コミュニケーション ミリオタとして10年弱活動してますがオフで会うような友人はできてないなあ。特に必要も感じないけれど。みんながPCの向こうで元気にオタやってればいいやーみたいな感じだ

はてなブックマーク - fuldagapのブックマーク / 2009年2月24日

そうなのか(しょぼん)
よござんす、ご縁がないということで今回はあきらめます。まあネットは広いのでそういうこともあります。コメント欄でお誘いをいただきました。わぁい。いや私は関西なので、いつになるか分かりませんが、ほんに機会があればぜひお会いしたいですねえ。

気を取り直して。亡夫と出合ったのもきっかけはネットでした。その頃私が入っていたメーリングリストの配送管理をしていた(世話人とわたしたちは呼んでいましたが)のが彼で、最初のやりとりは講読の申し込みとその後自己紹介を見て彼がよこしてきた返事との二往復程度のメールでした。後からきいたところ、彼はそれまでうちの大学に文学部があることを知らなかったそうです。なんて奴だ*2)。ともあれ、ネットで知り合った人と結婚したくらいですから、私はネットの付き合いといわゆるリアルの付き合いの間にそれほど厳しい壁をおいてはおりません。ネット上の付き合いも、リアルなお付き合いと同じく、して差し上げられることはして差し上げる、好意はありがたく頂戴する、逆に入ってきて困るところには入っていただかない、など基本的なきまりを守れる人であるかを見極め、お付き合いしていけばよいものと思っています。例えば他人の感情や意図を勝手に代弁するような方とは、たとえご近所でもお付き合いは遠慮していくのが人情だと私は思っていて、それはネットだからと許容されるあるいは拒否されるという問題ではないと考えます。さらにその(たいていは誤った)憶測に基づいてあれやこれやをこちらにせよと言い立てるような方ならば、まして。

こちらが尊敬できる方にご交際を願い、あるいはお声掛けを受けてやりとりをし、その積み重ねが人間関係になっていくことは、ネットでもとくに変わらないと私は考えます。あるいはゲームや旅、野球観戦といった、実際に会う機会の多い趣味での交わりがネット上でも多かったことが、私のネット交友観を特徴付けているのかもしれません。ゲームでは自宅に人を呼んであるいは呼ばれて遊ぶことも多いので、まったく匿名同士とはなかなかいかないものです。自分がネットを介して最初の頃に出合ったものが、まだ実名原則が堅持されていた頃の fj.* を背景にしていたコミュニティであったことも、影響しているかもしれません。「自宅にお招きしたい/しても構わない方かどうか」というのは今でも自分のなかでコミュニティサイトで他の方とお付き合いしていくときのひとつの基準になっているように思います。

逆に Twitterwassr などは、もう少し気楽にやっています。もっとも TwitterWikimedia 関係の友人にwassr は FLOSS 関係の友人に誘われて始めたので、自分にとってはリアルの延長でもありネットコミュニティの延長でもあるのですが、IRCよりは即時性がなく、ぽわぽわとメッセージを残しておけること、ブロゴスフェアや掲示板がそうであるような偶然の出会いによるやりとりがたまに生まれることが魅力かなと思っています。始めた経緯は異なりますが、はてなもどちらかといえば気楽にやや外向きに使っています。もっとも、その開け立てについては現在も模索中ではありますが。

すでに何度か会って友情を確認しあっていたり、ネット上に相手の痕跡を見つければいって /me hugs だれそれとハグを交わす仲の友達はともかくとして、先方は知らず自分でなんとなく友情を感じている類の淡い「ネット友人」なら、誰にでもそれなりにいるのだと思っていました。なのでそうではないとおっしゃる方をみると、なんだか心の隅がしんとなります。

未だ、一人も出来ません。

はてな匿名ダイアリー「オンライン上で友達が欲しいと、思い続けて早幾年」

はてなでアカウントとって、はてなハイクやって、毎日「おはよう」と「おやすみ」を書いたら、いえしりとりでもいいのですけど、そうして他の方にもスターをつけてさしあげたら、沢山スターフレンドが出来ますよ……。ってたぶんそういうことじゃないんですよね。ごめんなさい。

匿名さんがどういう「友達」を求めているのか私には分かりませんでした。自分の魂の苦しみによりそって、いや自分が意識の上ではそれを忘れて振舞っているときにさえ、その隠れた呻きに思いを寄せて一緒にお祈りしてくれるという意味での友達でさえ、ネットで出会うことがないというわけではないので。もちろん自分の心をネットの上に何らかの表現として傾けて初めてそれは起こりうることですが、でも匿名さんはブログをつけたりして「ネット生活は充実していた」のですよね。多分匿名さんのいう「友達」の意味を私が理解できていないのだろうなあ。

そもそも、友達を作ろうという方向性が間違っていたのかもしれないし。

私が考えているような友達という関係自体が、存在しないのかもしれない。

それでも、まだ友達が欲しいと思う私です。

それでもネットに失望していない、ネットでも友達と出会いうると信じている匿名さんに、最初感じた淋しい思いとはうらはらに、私はなんだか励まされました。安易なことはいえないですけど、きっといい友達にいつか会えるのだと思います。その日が早く来ると、よいですね。

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*1:私はとてもとても薄い海軍ファンなのであります。

*2:しかも彼はそのとき入学から数えてちょうど10年目かなんかだった。ほんとになんてことなんだろう。