ヒュッツポット

オランダのウィキメディアン、User:Effeietsanders 通称 Eia から去年教えてもらった料理。「日本人はカレーが好きだから君の気に入るんじゃないかと思って」だそうだが、簡単で、日持ちして、腹持ちもよく、素朴ななかに滋味のある皿で、この時期になるとよく作る。今晩はこの冬二回目。下の分量で作って、少しおかわりをしてたっぷり食べたのだが、あと二回分くらいは、あるかしら。

ヒュッツポット(四皿分)

  • 玉葱 大1

***
A:

  • 人参 大1
  • じゃがいも 大4つ
  • ローリエ 1枚
  • にんにく 1かけ
  • 胡椒 ひとつぶ

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  • ナツメグ 小さじ1
  • 塩 適量
  • 牛乳 大さじ1
  1. 人参とじゃがいもをよく洗う(皮は剥かない)。人参は四つくらいにぶつ切りにする。
  2. 玉葱はみじん切りにして油(レシピ外)で炒めるか電子レンジで加熱する。
  3. A:の材料を深鍋に入れ、ひたひたに水を張り、中火で沸騰するまで火にかける。沸騰したら火を弱めて、弱火でじゃがいもと人参に竹串が通るくらいになるまで柔らかく煮る。
  4. じゃがいもを鍋から出し、手早く皮を剥く*1
  5. 皮を剥いたじゃがいも・人参をボウルに入れ、粗めにつぶす。加熱した玉葱を加え、さらに混ぜる。
  6. ナツメグ・塩・牛乳を加え、混ぜて、なじませる。

これでできあがり。友人には「コロッケの中身だけ」といわれたが実際そんな感じ。オランダではこれをブラッドソーセージなどと一緒に合わせて食べるらしいが、これはこれで独立した皿だとみなされていて「付け合せ」ではないらしい。なおゆで汁は棄てずにあとで味を付け直しスープとしていただくのがオランダ流である*2

ちなみに今日の献立はヒュッツポットに豆腐ステーキ、付け合せはエリンギの焼いたん*3。これを書いたら紅茶をいれて別腹にチョコレートをいただく予定である。

じゃがいもがオランダに入ってくるのは当然15世紀以降で、それまではパースニップを用いていたと英語版ウィキペディアに書いてあった。純然たる家庭料理で普通はレストランで出すものではないそうだが(しかし旅行会社の広告を見ていると観光客相手のレストランで出てくることはあるようだ……)、例外は10月3日のライデンで、この料理がオランダ独立戦争でのライデン包囲戦で守備側に食されたという故事があるため、この日ライデンでは各家庭のみならず居酒屋のようなところでもヒュッツポットをメニューに載せるそうである。

なおこれを教えてくれた Eia によるとさらにおすすめなのが同様につぶしたじゃがいも*4とゆでたケールを混ぜた料理なのだが、ケールが手に入らないので作ったことはない。Eia は非常に熱心にこれらの皿のレシピを教えてくれたのだが、同時に「オランダには料理なんてないよ! あるのは何であれビタミンがすべて失われるまで煮たものだけなんだ……」だそうである。

追記:玉葱を炒める場合も電子レンジで下加熱するのが鰤端末流である。詳しくは茶色い玉葱 - 鰤端末鉄野菜 Brittys Wakeをご覧下さい。

*1:ドイツなどで売っているじゃがいも皮剥きを使うと便利だが日本で見たことがない……

*2:玉葱も一緒にゆでるレシピだとおいしいスープになるのだが、そのかわりヒュッツポットが水っぽくなり日持ちしない。それもあって私は電子レンジで処理するようにしている。この場合、スープにするときに玉葱の炒めたの等香味野菜を別途補うとよい。

*3:芋たっぷりなのでご飯は炊いていない

*4:オランダには「つぶし料理」とでもいうべきジャンルがある。ストンプという。専用の「つぶし器」もあるそうだが、まだ実物を見たことはない。