オールド・イングランドあるいは彼らの最良のとき

バーっていうかパブかな。中山手、山手通り沿いのオールド・イングランドというお店(参考)。これは神戸の正教会のわりと近くにあって、いつも気になってはいたのだが、教会では必ずお昼ご飯が出ることもあり*1、入ったことはなかった。

きのうは12月23日のミニシンポジウムを前に、たかとりコミュニティセンター内のひょうごんテック事務局で打ち合わせ。打ち合わせが終わると10時過ぎで、いつもは三宮の乗り換えの際、海鮮丼をガード下の丼屋で食べて帰るのだが、昨日はお誘いをいただいたので付いていくとパブだったという次第。

かなり古いお店だそうだ。リンク先に写真があるが内装がすばらしい。イギリスにいったことはないが、パブってこういうものなのだろうなと思う。いかにもよく磨かれたカウンターが光っていて、店員がきびきびと働き、声をかければ愛想よく返事が返って来る。神戸は落ち着いた店が多いが気取ったところはあまりなく、狎れず離れずというところが気持ちよい。店内の採光は明るすぎず、暗すぎず。話をするのにちょうどよい感じ。ビールはサッポロとヱビスとギネスだったか、三種類ほどあった。連れてきて下さった方はギネスを頼み、わたしはジンジャーエール。つまみはフィッシュ&チップス。さすがに新聞紙に包まってではなく、しゃれた籠に入って、レモンとタルタルソースを添えて出てくる。魚はそれなりに大きくて、食べでがあった。レギュラーとハーフがあって、魚の量が異なるのだが、ひとりで食べるならハーフ(2切れ)のほうがいいかもしれない。じゃがいもは太めにざくに切って……わたしの考える「チップス」のイメージじゃないけど*2ウィキメディア・コモンズの写真どもをみるにフィッシュ・アンド・チップスでいう「チップス」というのはそういうものらしい*3

気持ちよいパブに落ち着き、老人介護福祉や震災時の仮設住宅のボランティアなど興味深い話をいろいろ伺っているうちに、うっかり終電を逃しました。オールド・イングランドから三宮駅までは歩いて5分あります。行かれる方はご注意ください。

ルミナリエ最終日でもあった*4のだが、諸般の事情で行けず。財政難と聞くがほんとうにそうなんだなと短い会期に思う。駅がそれほど混んでなかったのは、もう三宮についたときには11時のほうが近く遅かったからか。地震のあと、いろいろなことがあって、いろいろな人の人生が変わった。きょうパブでお話した方もそのひとり。ひょうごんテック自体がその前身は震災復興支援活動の技術ワーキンググループだそうだから、地震があって出てきた活動といえなくもない。13年たって、あるいは介護支援やオープンソースと一見異なる活動ではあっても、あの天も地もなく崩壊したような神戸の記憶を、おそらくわたしたちはどこかでいまも引きずっているのだろう。

天変地異はあっても、わたしたちはこの街に、この地上に、へばりついて生きていく。たまにはおいしいものを食べて、笑って。そうして日常に戻っていく。

で打ち合わせの話に戻ると、最終的に、15分程度のプレゼンをして、細かい話はハンドアウトに任せることになった。というわけでハンドアウトを作らんとあかんのですが、印刷・製本等の都合で木曜日の日中には仕上げんとなりません。明日は歯医者なので午後から留守にします。正味1日……。頑張る。

*1:正教会ではお祈りの時間が長いこともあり――主日の聖体礼儀だと1時間半かそれ以上ある――、日曜にはお昼ご飯が出るところが多い。多くは教会の婦人会の方がご奉仕して支度してくださる。

*2:だいたい辞書を引くと "a thin slice of white potato that has been cooked until crisp and then usually salted" (Webster, 3ed.)ということだから、薄く切ってあることを期待すること自体はあながち間違ってないのじゃないかとも思うのだ。未練がましいが。

*3:店では芋にケチャップを添えていたのだが、しかしウィキメディア・コモンズの写真によれば、どうもタルタルソースとつぶした茹でグリーンピース(mushy peas)を添えるのがロンドン風のようだ。

*4:そのことには日曜日になってから気づいた。