リアル・システムキッチン・参考書篇
これまでのお話
リアル・システムキッチンこと台所補給計画のシステム化の提案に、みなさまから好意的な反応をいただきました。ありがとうございます。きょうは関連する書籍――というかリアル・システムキッチンにたどり着くまでに私が読んできた書籍をいくつかご紹介したいと思います。トラックバックも沢山いただきまして、二三詳しくお返事したいこともあるのですが、それは後日に譲ります。
発想の源泉
丸元淑生のシステム料理学―男と女のクッキング8章 (文春文庫 ま 4-1)
- 作者: 丸元淑生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1982/06
- メディア: 文庫
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私が読んだ丸元本は主に上の『システム料理学』です。丸元氏が1990年前後にビタミン・サプリメントをやたらに勧めるようになってからは、ほとんど読んでいません。自分では化学調味料をあからさまには使わないのは、丸元の影響が強いのかなと思います。
- 作者: 玉村豊男
- 出版社/メーカー: TaKaRa酒生活文化研究所
- 発売日: 1999/04
- メディア: 単行本
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なんで「四面体」であって正方形や他の形ではないのかというと、これはレヴィ=ストロースの料理の三角形(当時はまだ邦訳のなかった「生のもの、腐ったもの」+焼いたもので三角形になる)のパロディでありかつ玉村流の発展形としておそらく構想されているからで、その点で仏文科出身の玉村氏らしい一書かとも思います。
八木あき子『ドイツ婦人の家庭学』(1983年、新潮文庫、2001年)からも家事の効率化について多くを学びました。「買い出し日」という発想は直接には八木本から来ています。のちにドイツにいって職業婦人(家庭医)である大家さんの生活をみてきましたが、「買物日」「洗濯日」を決めて、ものによってはアウトソースし、家の快適さ清潔さを保つことと、自分の時間を作ることを両立させる姿勢には多くを学びました。
レシピ本
個々の料理本は、写真やレシピをみているだけで楽しく、挙げれば切りがないのですが、特に何度も飽かず読んだもの・またそのレシピを自分の食生活に大幅に取り入れているものを幾つかあげておきます。
- 作者: 檀一雄
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2002/09/25
- メディア: 文庫
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- 作者: 邱永漢
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1996/09/18
- メディア: 文庫
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辻嘉一『辻留・料理のコツ』 (中公文庫 M 92-3)、1980年。こちらはその懐石というか和食の入門書というよりはTips本です。書影がないということは絶版なんでしょうかね。辻嘉一さんは京都・三条の辻留の、もう先代さんですか、昔は『きょうの料理』にも出ていたりして、わたしの世代より上の方には覚えている方もいるかなと思います。説明が分かりやすくて、大好きな先生のひとりでした。この本も、分量などはきちきちとは書いていません。その時々の素材や季節やに応じて決めるのがよいというお考えであったように覚えています。辻嘉一さんの料理本では、懐石を季節ごとに指導した写真の沢山入った本も婦人画報社などから出ています。図書館などにあると思いますので、どうぞご覧下さい。自分では作らずとも、盛り付けの参考になるかと思います。
村上信夫『帝国ホテル料理長の楽しいフランス料理』、講談社文庫、1985年。こちらはフランス料理の本(こちらも書影がない……)。手元にないので記憶で書きますが、この本のレシピもざっくりした記述だったように思います。村上さんも『きょうの料理』の先生をしておられました。料理本は沢山出しておられますが、わたしが最初に読んだ、そして最も読み込んだ村上本はこの本です。レシピもですが、いろいろなことを学びました。ちょっとの違いでドレッシング(ソース・ヴィネグレット)の違いができるということ(ということは違う皿となるということ)、じゃがいもの皮は捨てずに野菜のフォンを引くのに使うこと、サンドイッチのバターはたっぷり(ほんとうにたっぷり)塗ること、などなど。巻末には、とくに男性に向けて、「家でおいしいものを食べられないと不満をいうなら、奥様と外のお店でおいしい食事をしてください――いい料理人はいい料理を食べなければ育ちませんし、女性の方は外で食事をすると沢山のことを吸収するものです」という趣旨の提案があって、これは帝国ホテルのレストラン部門の総責任者らしい控えめなマーケティングだなと今になると微笑ましくも思うのですが、村上さんの率直な気持ちだっただろうとも思います。辻嘉一さんもそうですが、たんに自分の店が繁盛するということだけではなくて、食に対する意識が日本の社会全体で向上してほしいという志がお二人には共通してあったようにも当時を振り返って思います。これはお二人だけでなく、あの番組に当時出てきたいろいろな方に共通することかもしれませんが。
自分の料理に関する思考の原点になっている書籍を挙げたので、いきおい古い本が多くなりました。出版から少しあとになって読んでいるので、読んだのは高校生から大学生の頃になります。他にもいろいろな方の書籍や料理記事(新聞や雑誌)を読み、参考にしてきました。機会があれば、それもいつか書いてみたいと思います。みなさんのお気に入りもお伺いできれば幸いです。