使徒の斎

使徒の斎(ものいみ)といって、正教会では6月28日までが断食の時期である。28日といったがこれは元来の、ユリウス暦での日付なので、修正ユリウス暦ギリシャ正教会など)の教会ではおとといまでだが、日本のようにユリウス暦のところでは7月11日までとなる。11日だよね。いや計算は苦手なのです。使徒、というのは首使徒ペトロと使徒パウェルパウロ)のことで、彼らの記憶の日が6月29日(7月12日)。

断食といったが、この場合はどちらかというと食事制限で、肉と乾酪(卵と乳製品)そしてオリーヴ油を断つのが慣わしである。普段は水曜日と金曜日に厳格な斎*1をするのみだが、この季節はそれに加えて肉と乾酪もなしということになる。なおこの斎はペンテコステ聖神降臨祭)の1週間後からはじまるので、復活祭の日付と開始日が連動しており*2、なので時期は毎年一定していない。

なおそのように複雑だからなのか、それともたんに正教徒がとてもマイナーな存在だからなのか*3、一般の航空会社の特殊ミールには「東方正教会」というカテゴリがない。ユダヤ教徒イスラム教徒とジャイナ教徒のはあるのに差別じゃないかと思うがとにかくない。ついこのあいだまで正教が国教だったギリシャフラッグキャリアであるオリンピック航空でも「東方正教会な食事」というカテゴリはないので、あるいは世界中どの航空会社にもないんじゃないかという気さえする。それでみんなどうしているのかなあと思って、昔ある友人に聞いたところ、「『完全なベジタリアン*4を指定している」と教えられた。

来月はエジプトにいってくるわけだが、出発日はちょうど使徒の斎と掛かっててくるので、ミールをオーダーしておかないといけない。というわけでいまどうしようか SQ のミール表をみながら考えている。いまのとこフルーツプレートかヴィーガンかなあというところなんだが、選択肢がいっぱいあってよくわからなかったりする。

*1:背骨のある動物の肉・乾酪・酒・オリーヴ油を断つ

*2:復活祭後57日目から。

*3:おかしい、全世界で1億人いるはずなのに……。

*4:ヴィーガンと呼ばれる乳製品も卵も食べないタイプ